【スタディツアー報告】

◆2006/03月

ラオススタディーツアー現地視察報告 ラオス「子ども保護」編

laos_hodo.jpgラオスの人口は約570万人。内50%は18歳未満です。法律では15歳未満の労働はできないという基準がありますが、5~14歳の子どもの32%は働いています( 2000年調査)。

タイに労働を求める子どもが5万人以上(メコン川を渡って簡単にタイに行き来するため、正確な数字は不明とされている)と推定されます。

子ども保護には、ストリートチルドレンの子ども、そして国の発展と共に、子どもトラフィッキング(人身売買)、HIV/エイズ、といった新しい問題が浮上してきています。

 

ストリートチルドレンについて

貧困の為ストリートチルドレンの子どもも多く、保護施設では1日に40人の子どもが保護されることもめずらしくありません。 子どもたちの これらの原因の一つは貧困のためでもあります。

 

保護施設プアンミット・ファミリーセンターを視察しました。
  laos_puanmit.jpg保護される子どもたちの50%はストリートチルドレンで占めます。受け入れ年齢は 1歳から21歳まで。男女25~30名位が宿泊しています。ここでのスタッフは 27名。授業は昼・夜 ・週末(日曜日)体制で、昼間は普通の授業(読み書き、数学、歴史)やスポーツ・保健衛生などの授業を行います。センターでのルールやスケジュールは字が読めない子のために壁に絵で紹介しています。ここでの授業に慣れると徐々に一般の学校に行かせます。大きい子には技術を身に付け自立できるよう応援します。

ここでのユニセフの活動は、労働福祉省とストリートチルドレンのために活動する団体「フレンズインターナショナルプロジェクト」をサポートしています。

3.ラオス 「教育」編

◆2006/03月

ラオススタディーツアー現地視察報告 「教育」編


laos_kyouiku.jpgラオスの教育制度は5・3・3制です。6歳から5年間の初等教育は義務教育になっていますが、教科書は今年から各自で購入(3冊24000キープ=約240円)しなければならなくなりました。購入できない家庭は古い教科書を使っています。
全ての小学校で5年生までの学級があるのは41%です。小学校の就学率は上がってきてはいますが約14万2千人以上の子どもが今も教育が受けられない状態にあります。中でも少数民族の女の子は不利な状態に置かれています。
教員の給与が著しく低いため兼業せざるをえない教員も多く、教師たちの育成も十分でありません。

ユニセフの支援プロジェクト「子どもにやさしい学校」では、生徒にとって学校に通いたい、楽しい、と思える学校づくりを行い、子どもの就学率を上げ教育の質を上げる取り組みが行われている学校を訪問しました。

 

■「子どもに優しい学校」小学校訪問
ビエンチャン市内にあるポーンホーン郡の学校でモデル校として選ばれた小学校を訪問しました。14名の先生がいます。以前は出来ない子どもであっても気に留めることなく授業を進めていましたが、今はよく子どもを見るようになったと言います。休んでいる子どもにも家庭訪問をするようにしています。このように先生たちの意識も変わり、子どもたちが学校を好きになるための工夫をします。親たちも学校に対して協力的になったそうです。他に英語教師を配置し成績のレベルアップを図ります。

 

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職員室の一角には図書コーナーがあり、自由に子どもたちが出入りし横になりながら本を見ます。
昼休みは1時間半あり、家が近い子どもは家庭に戻って食べることも許されています。
ここでの就学率はほぼ100%に近いそうです。山岳部にある学校とは様子も変わり内容も充実してきています。

 

■「僧侶による授業」中学校訪問
ビエンチャン市内にある中等科の授業を訪問しました。今回、新しい試みでスタートした授業の教師は僧侶です。ラオスは仏教国であり村に学校が無くてもお寺は必ずある、というほど僧侶の関わりが深くなっています。また、位のある僧侶は教育も受けており、人々から尊敬され、僧侶の言うことには耳を貸し従がいます。
ユニセフの者が直接講壇に立つことはなかなか許可が下りません。そのためユニセフの情報を僧侶に伝え「HIVエイズ」のファシリテーターを務めてもらっています。今回はHIVについて「性交渉による病気」はどのような態度から引き起こすか、具体的にグループごとに意見を出し合う授業を行っていました。
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◆2006/03月

ラオススタディーツアー現地視察報告 続ラオス「保健/水と衛生」編

■概要
laos_saitama1.jpg*ラオスの子ども10人に1人が5歳の誕生日を迎えるまでに命を落としています。ユニセフは母と子の健康を向上させる制度の支援を行い、乳幼児の死亡率対策のため、予防接種の普及を行い、また下痢予防や栄養補給の正しい情報を教えています。このことにより、5歳未満児の死亡率1000人あたり1990年には163人から2004年65人へと減少しています。(「世界子ども白書2006」参考)

*人口の60%が安全の水を得られるようになりましたが、残りの40%はまだ安全な水を利用していない状況です。そこには国土の3分の2が山地という複雑な地形を持つため、普及には時間がかかりますが随分改善されてきています。支援が始まる前までの川の水汲みの労働は、女性や子どもたちの役割でした。また、65%はまだ下水設備のない生活をしています。ユニセフでは、安全な水の供給と下水設備の設置のためにどの地域で支援を必要としているのか調査を続けています。


laos_bluebox.jpg*「ブルーボックス」(1ボックス$100~120)という、水と衛生のための教材を教育省・保健省と連携し、WHOと検討の上開発しました。現在はHIVエイズやマラリア、虫歯などの教育を追加したものを学校に2箱ずつ設置できるよう調整しています。現在の普及率は30~50%です。

 

ルアンパバーンより車で2時間近く走ると低地ラオ族の村です。3箇所の村を訪問しました。


<タリ村>訪問
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 180世帯ある中で電気を引いているのは136世帯。内パラボナアンテナ(中国製)をつけてTVを見ている世帯が30世帯には驚きでした。昨年11月に給水施設が完成し、村の13箇所に配管されています

<ハッド・サイカム村>訪問
60世帯、人口302(内女性135)人。ユニセフの支援によってきれいな水を確保することが出来るようになりました。貯水タンクの水源は2.6㎞先の山の湧き水の管を家の近くまで持ってきます。トイレも家の近くに設置できました。

<コック・トム村>訪問
77世帯、人口419(女性211)人。水とトイレの整備(村の一部負担)によって学校にもトイレが設置され、子ども達も(特に女の子)安心して排泄できるようになりました。今までは裏の林に出かけて用を済ませていました。学校の建物よりトイレの方が立派になりました。

 

■母子保健サービス
laos_boshi.jpg 母子保健サービスは3ヶ月に1度の割りで検診が行われ村の中心部にあたるお寺に集まってきます。5歳未満児の体重・身長の検診を行い成長の確認が行われています。
また、ユニセフでは半年に1回、6ヵ月から5歳未満の子どもに対し健康被害を防ぐためビタミンA錠剤が与えられています。また、妊産婦のための健康診断もこの場で行われています。

 


■トイレ援助
laos_toilet.jpg 訪問した3つの村には、ユニセフの援助によってトイレが整備されていました。作りかたの指導を受けた後、各自で作成します。深さ60センチ程に掘った周りをセメントで固め(底は土のまま)家族の人数に合わせ2層、3層とタンクを重ねます。こうすることによって10年間は使用できます。満杯になったらまた違う所を掘ります。
ユニセフからは1軒に付きタンク2個(1個$5)と便器が援助されます。ガス抜き穴や土を掘る労働は各自で行うことが条件です。

 


■水道援助
水道施設は、各村とも数キロ先の山の湧き水を吸い上げ、家の近くまで届くようになりました。水道代は月/1000キープ(10円程度)。
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◆2006/03月

ラオススタディーツアー現地視察報告 「ラオス一般情報」編


laos_slide0030_image008.gif2006年2月4日~12日の日程でラオスにおける「ユニセフ援助事業」を首都ビエンチャンを拠点に北部ルアンパバーン県の村を視察してきました。

 

■一般事情
 面積:24万平方キロメートル(本州ほどの広さ)
 人口:570万人(北海道の人口に相当)
 首都:ビエンチャン
 言語:ラオス語
 人種:低地ラオ族(人口の70%近くを占める)その他49の民族
 宗教:仏教
 気候:1年を通じて熱帯モンスーン気候。雨季(4月~10月)と乾季の(11月~2月)の2シーズンに分かれる。乾季は雨が少なく過ごしやすい。

 

■概要
 世界の貧困国のひとつに選ばれる。
 国の3分の2が高原や山岳地帯。山岳の農村部では支援の手が遅れている。
 人口の73%が1日2ドル以下で生活をしている。
 インドシナ半島に存在し、中国、ミャンマー、タイ、カンボジア、ベトナムの5カ国と国境を接する、内陸国。
 タイとラオスとの国境を沿うようにメコン川が1900kmに渡って流れている。

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